まこネット Maconettes

本堂誠の生活を綴るブログ。

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ルルー・マショー Leroux-Machaud

毎年6月にIrcamが中心となって開催している現代音楽祭り、マニフェスト -Manifeste-。
前回のマニフェストで最も注目を集めたコンサートが今回早くも再演されました。

lerouxmachaud.jpg

フィリップ・ルルーはサックス奏者にとって"SPP"や"緑なすところ(Un lieu verdoyant)"などの作品で縁のある作曲者で、私も今年2月のコンサートで"3つのビス(3 bis rue d'insister)"を演奏しています。

一方ギヨーム・ド・マショーは14世紀の作曲家で、音楽史の中ではアルス・ノヴァの時代を代表する主要な人物です。
ルルー氏は現代音楽に留まらずバッハやモンテヴェルディ以前の音楽についての見識が深い人であり、"3つのビス"の2曲目では一つの主題を元に12世紀のペロタンのスタイルから始まり、最後はいつの間にか19世紀のショーソンのスタイルで終わるというタイムトラベル的作品となっています。

今回の作品ではマショーの時代から保存されている楽譜のテキストから音符を取り出し、または音符の装飾からジェスチャーを取り出し、当時の音楽と現代技術である電子音やコンピュータを使って計算された和音などを用いて見事に融合させています。

この融合が成立する理由、個人的な意見としては2つあります。
まずはマショーによる当時の曲が想像以上に"現代曲のように響く"こと(私にとっては17〜20世紀辺りの音楽が耳馴染みがあります)、そしてルルーによる微分音は自然倍音や計算によって選ばれた音、つまり"自然に響く"ことによって、お互いの時代的な距離はかけ離れていても音楽としては歩み寄っているのではないかということ。
そしてもう一つはルルーが確かに伝統を受け継いだ先の音楽として存在することによって、マショーとの繋がりを失っていないということ。これは西洋音楽として、というよりもフランス人としての精神だと思いますが、ルルーのマショーへの大きな敬愛が伝わってきます。この曲は特にフランス人にとって特別な意味を持っており、歴史的価値のある試みであるだろう、なんて聴きながら(異国人である疎外感を感じながら)考えていました。

素晴らしい曲であったことは間違いないのですが、1時間以上の曲を集中して聴き続けるというのは精神的にも体力的にもかなりの疲労感を伴います…
初演の際は予約の時点で既に満席という人気で、私は聞けずに本当に無念な思いをしましたが、とにかくこうして聴けたことに満足です!
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